家の中のどこにいても快適に過ごせて
体に負担をかけない温熱環境デザイン

快適さをつくる6つの要素

室内環境を構成する温度・湿度・気流・音・光などのうち、快適性に関する要素による環境のことを『温熱環境』と言います。例えば、人の快適性に影響する要素としては「温度・湿度・放射・気流・着衣量・活動量」の6要素があり、建物側で制御できるのは前の4要素です。

室温より重要な「体感温度」

体感温度は放射と気流の影響を受けます。
放射による影響は、窓際から足元に冷気が広がるコールドドラフト現象や、床や壁の表面温度があります。
また、気流は建物の隙間から空気が出入りすることや、サーキュレーターなどで風を起こすことで発生します。
体感温度を快適にするためには「窓や床、壁の断熱性能を高くすること」と「気密性能を高めて隙間風をなくすこと」で放射と気流の影響を受けないようにすることが必要です。

温度差によるヒートショックを防ぐ

ヒートショックとは、急激な温度変化が身体に及ぼす影響のことです。温度の変化により血圧が急激に上昇したり下降したりするため、心臓や脳に大きな負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞などを起こすことがあります。

労働科学研究費補助金 入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成25年度 総括・分担研究報告書、警察庁「平成25年中の交通事故死亡者数について」 ヒートショックによる入浴中死亡者数は交通事故の約4倍であり、高齢者だけでなく若年層でも遭遇する可能性があります。

東京都健康長寿医療センターの調査によると、入浴中の事故発生件数で都道府県別ワースト3は、香川県、兵庫県、滋賀県です。いずれも北国ではないことから、原因は地域による寒さではなく、室内での要因が大きいと予想されます。

※2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会(HEAT20)パンフレットより作成

ヒートショックを起こさないためには、家の中の温度差を少なくすることが重要です。リビングだけを局所的に温めるのではなく、家の中のどこにいても温度差を感じないよう、家全体を包むこむように断熱し、室内に暖かい空気が循環するように温熱環境をデザインします。