高気密高断熱の家は乾燥しやすい?【湿度管理と加湿器の選び方】
高気密高断熱の家は「冬に乾燥しやすい」と言われます。
しかし、実際には高気密高断熱だからということは関係なく、冬の空気はもともと乾燥しています。
もともと乾燥しているうえに、暖房によって室温を上げてしまうことで、より乾燥していると感じてしまうのです。
ちなみに、乾燥の原因は「空気に含まれる水分が減ってしまうから」ではありません。
エアコンによる暖房は、空気を暖めることで部屋全体の温度を上げるので、水蒸気が発生しません。
つまり、空気中の水分は変わらないのに温度だけが上昇するため、湿度(相対湿度)が低下して乾燥を引き起こしてしまいます。
「水蒸気?相対湿度?どういうこと??」ってなった方、理解できなくても大丈夫です!
とにかく冬は乾燥しやすいので、家を建てるときに「湿度管理」について検討しておくことをおすすめします。
冬の室温湿度は20℃・50%くらいを目指す
冬の暖房をエアコンに頼ると乾燥するので、冬は加湿器が必須となります。
室温は20~22℃くらい、湿度は50%くらいが快適に感じられる目安です。
(快適さの加減は人によって異なるので、あくまで目安として捉えてください)
ちなみに、新築の家は基礎コンクリートから水分が発散されます。
そのため、家を建ててから2~3年くらいは加湿の必要がないかもしれません。
「今年は乾燥してるな~」と感じたら加湿器を導入してください。
おすすめの加湿器
30坪前後の家で4人家族だと、1日10ℓくらいの加湿がめやすです。
おすすめの加湿器は下記の2つです。
①パナソニック FE-KXF15
ヒーターレス気化式加湿機
②ダイニチ HD-LX1023
ハイブリッド(加熱+気化)加湿器
あえて選ぶなら…ということでピップアップしましたが、これ以外の加湿器でもまったく問題ありません。
ただし「気化式」のものを選んでください。
気化式とは、水をフィルターに含ませて、そこに風を当てて蒸発させるものです。
気化式のマイナス面は、水をそのままフィルターに含ませるので、出てきた蒸気が冷たいこと。
やや室温に影響が出ます。
ハイブリッド式は、気化式のマイナス面を補うもので、温風を当てるので暖かい蒸気が出てきます。
ヒーターによる加熱を行うので消費電力が大きく、電気代が高くなる傾向にあります。とはいえ、月に数百円レベルなので、光熱費が許容範囲なのであればハイブリッド式がおすすめです。
加湿器の置き場所は設計段階で考えておく
加湿器は意外と大きく、コンセントも必要なので、設計段階で場所を検討しておきましょう。
当社ではプランニングの段階で決めています。パッシブデザインで吹き抜けの間取りになることが多いので、リビングの一角や階段の下に置くことが多いです。
エアコンのある部屋がいちばん乾燥しやすいので、エアコンを設置した空間に加湿器を置くようにしましょう。
ただし、センサー付きの加湿器は温風が当たると誤作動を起こします。暖房の風が直接当たらないように注意してください。
エアコンや電化製品の近くに加湿器を置くと、内部結露を起こして故障の原因になってしまいます。パソコンやテレビの周辺に置かないようにしましょう。
1日運転するとタンクが空になるので、水回りの近くにある方が水補給しやすいです。
蛇口が低いと入れにくいので、蛇口の位置が高い水栓金具を採用してください。
持ち運びしやすいようにタンクが2つに分かれているものがおすすめです。
空気を循環させるため、冬でもシーリングファンもしくはサーキュレーターの使用をおすすめします。
風が当たると寒く感じるので、なるべく人が通らない場所に設置すると良いと思います。
いかがでしょうか?
加湿器を置いてもいい場所は意外と限られています。設計段階で検討しておく理由はこのためです。
もし、担当設計士から提案されなくても、自分から「加湿器の置き場所を提案して欲しい」と伝えてくださいね。
加湿しすぎると結露・カビ・ダニが発生する危険も
冬は加湿した方がいいとはいえ、やりすぎは禁物です。
湿度70%を超えると、カビやダニが発生する可能性が高くなるので注意してください。
また、加湿しすぎると窓ガラスや窓枠に結露が生じることがあります。
これは外気に冷やされた冷たいガラスと、室内の暖かい空気がぶつかることで、水蒸気が水滴になるからです。
窓周辺の結露を防ぐためには、高性能なガラスや窓枠を選びましょう。