【連載④】店舗併用住宅の「資金計画・ローン・開業スケジュール」完全ガイド

店舗併用住宅の計画で、ほぼ全員がつまずくのが「お金」と「スケジュール」です。
住宅単体より費用も時間も複雑になりやすく、適切な段取りを踏まないと「予定通りオープンできない」「予算が足りない」「融資を断られた」という事態も起きます。
この記事では、これから店舗併用住宅の建築・開業を検討する方に向けて、資金計画・住宅ローン・事業用融資・開業までのスケジュール管理のポイントをわかりやすく解説します。
店舗併用住宅の資金計画は「住宅+店舗+開業費」の3本立て
店舗併用住宅の費用は “住宅だけ” の資金計画とはまったく異なります。
最低でも以下の3つをセットで考える必要があります。
1. 建物本体価格(住宅+店舗)
建築費は延床面積が増えるほど高くなるため、一般的な住宅より割高になりやすい構造です。
・住宅部:標準的な建物価格
・店舗部:内装・設備・給排水・電気容量などが割高
特に美容室・飲食店は、給排水・電気設備・換気システムが強化されるため、店舗部分の坪単価が高くなる傾向です。
2. 店舗内装費(業態による差が大きい)
店舗部分は「スケルトン+内装一式」になるため、業種ごとに費用が大きく変わります。
更に必要に応じて「設備費」「備品」「看板」「外構費」などが加わります。
| 業態 | 内装費の目安 |
|---|---|
| 美容室 | 300〜800万円 |
| ネイル・エステ | 100〜300万円 |
| 飲食店 | 500〜1500万円 |
| 事務所・教室系 | 50〜200万円 |
3. 開業費(ランニングコストも含む)
多くの方が見落としがちな部分です。
・開業届け・許認可取得費
・道具・機材・消耗品
・オープン時の広告宣伝費
・運転資金(開業後3〜6ヶ月分)
建築費と混ぜずに “別枠で” 管理するのがポイント。
住宅ローンか?事業融資か?店舗併用住宅の最適な資金調達
店舗併用住宅では、以下の2種類のローンを組み合わせるケースが一般的です。
A:住宅ローン(低金利で長期)
住宅部分に適用。金利が低いので、できれば住宅部分を多めに計上したいところです。
ただし…
・店舗部分が延床の50%を超える
・収益目的の割合が高い
などの場合、住宅ローンが使えない可能性があります。
B:事業用融資(日本政策金融公庫が中心)
店舗部分の建築費、内装工事費、設備費、開業費をまとめて借りられます。
特徴は…
・新創業融資(無担保OK)
・返済期間は運転資金7年、設備資金10〜20年
・審査は「事業計画書」が必須
美容室・整体・飲食店は特に公庫利用が多いです。
C:最も多い組み合わせ
・住宅部分 → 住宅ローン
・店舗・開業部分 → 日本政策金融公庫
この組み合わせが最も現実的で、金利負担も少なく済みます。
審査で必ず求められる「事業計画書」の内容
事業計画書は、主に以下を問われます。
1. なぜこの業種なのか
経験・資格・これまでの実績が重要。
2. 売上の根拠
美容室なら
・客単価
・席数
・回転率
・月間来客数
などを数字で示す。
3. 返済能力
公庫は特に「無理のない返済計画」を重視します。
4. 店舗併用住宅である理由
・家賃が不要で固定費を圧縮できる
・子育てと両立しやすい
など、メリットを明確に。
店舗併用住宅の “開業までのスケジュール” 完全版
店舗併用住宅は、通常の住宅より2〜3ヶ月スケジュールが長くなる傾向があります。
STEP1:資金計画・土地探し(1〜3ヶ月)
・家づくりの予算確定
・土地調査・店舗の向き
・駐車場計画の検討
・事業計画書の作成
→この時点でどのような店舗にするか具体的にしておく必要があります。
STEP2:プラン確定・見積り(1〜2ヶ月)
・店舗部分の面積・動線・設備の確定
・住宅部分との動線の調整
・提案図面&内装イメージの作成
STEP3:ローン審査(1〜2ヶ月)
・住宅ローンの事前審査
・公庫面談・審査
・必要書類の準備
STEP4:着工〜完成(4〜6ヶ月)
・基礎〜上棟
・店舗内装工事
・家具・設備搬入
STEP5:開業準備(1〜2ヶ月)
・許認可申請
・チラシ・SNS広告
・内覧会(美容室・サロン系で人気)
※着工後に慌てて許可申請する人が多いのですが、業態によっては「着工前」に申請が必要な点に注意。
店舗併用住宅で失敗しないためのポイント3つ
① 途中でプランを変えすぎない
店舗部分は専門工事が多いため、変更すると費用が跳ね上がります。
② 開業後6ヶ月分の運転資金を確保する
初月から黒字になるケースは稀です。
公庫もここを重視します。
③ 店舗入口と住宅入口を明確に分ける
プライバシーと防犯の観点から必須。
まとめ
店舗併用住宅の資金計画は、
✔ 建築費
✔ 店舗内装費
✔ 開業費
✔ 運転資金
が複雑に絡み合うため、通常の住宅より準備が必要です。
しかし、正しい順番で進めれば、“家賃負担ゼロで安定した経営を実現する家” を手に入れることができます。
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