2019年2月8日

壁も扉もない子供部屋 ~オープンな個室~

  • 小嶋
  • 書いた人/小嶋
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「小堀の家」の子ども部屋は個室ではありません。扉もなければ壁もない(あるんだけど90センチくらいの腰壁があるだけ)、非常にオープンな空間です。今までのARCHにはなかったタイプ。でも、初めて見たとき「6畳あるかないかの狭い個室より、こっちのほうが断然良い」と思いました。果たして子ども部屋とはどうあるべきなのか?ちょっと考えてみたいと思います。個人の考えもありますので、参考程度にお読みください。

 

ちなみに、お客様のご要望で圧倒的に多いのは「2階は子ども部屋を2つと、夫婦の寝室、あとウォークインクローゼットが欲しい」というもの。たしかに、私の実家も2階はそのような間取りでした。今は3人兄弟全員が家を出て、3人分の子ども部屋は空き部屋となっています。珍しいことではなく、同じようなご家庭が多いのではないでしょうか?

 

子ども部屋での思い出と言えば、冬の寒い日に白い息を吐きながら夜中までテスト勉強をしたことです。断熱なんて言う概念のなかった時代の家なので、当然ながら冬は室温が1ケタになることはザラでした。兄弟3人分の個室それぞれにエアコンを付けてもらえるほど裕福でもなく、電気ストーブ1台とはんてん&マフラーをして寒さを凌いだのでした。

夏はその逆、西日のせいで帰宅するころにはサウナと化した子供部屋。とうぜん勉強できる環境ではなく、エアコンの効いたリビングで過ごしていました。そんな風に思い出してみると、子供部屋というのは「暑い・寒い・狭い」の三拍子が揃った最悪の環境だったのです。

 

小堀の家に話を戻します。

子ども室は2つのスペースに分かれており、その間には吹き抜けがあります。天井にあるのは空調のためのシーリングファンです。この吹抜けがある意味、壁になっていて、2つのスペースを区切っています。

吹き抜けは空気の通り道です。1階で暖房用エアコンを稼働させ、そこで発生した暖かい空気が吹抜けを介して2階に届きます。これだけオープンに蓋を開けていれば、2階も十分に暖かくなります。晴れた日なんかは、窓から日射が得られるのでエアコンすら要らないかもしれません。

 

 

腰壁くらいの高さの壁は、机に座って勉強をしたり、ベッドに寝転んでしまえば、向こうの部屋の様子は目に入ってきません。「音が気になる」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、そもそも家の中の音は扉ひとつくらいでは通り抜けて聞こえてくるものです。幼いころからこの環境で暮らしてしまえば、そこまで気になるものではないと思います。

 

スターバックスで、見知らぬ人のとなりに座りますよね。人の話し声やBGMのように、すこし雑音があるくらいの方が、集中しやすく、安心することはありませんか?他人と隣り合わせでも、そこそこ居心地が良いと感じるのは、パーソナルスペースを侵さない店舗設計が出来ているからだと思います。一組の客が座るスペースは1~2畳ほどですが、これが個室だったら狭いことこの上ないし、居心地がいいはずがありません。なんとなく、想像できますよね。

 

また、視線や音を遮らないオープンな空間で暮らすことで、家族の在り方が変わるような気もします。常にだれかの気配を感じ、配慮し、共存しようとする気持ちが育つのではないか?と思うのです。社会問題である引きこもりや、うつ病といった子供が抱える問題は、一人で抱え込もうとする心が原因にあります。個室にこもって悶々と悩みを抱えてしまうことのないように、いつでも家族にオープンでいられるように、「住まいのカタチが心をつくる」と考えれば、こういう子ども部屋もアリではないかな。と思うのです。