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窓の大きな家は暖かいの?【窓の設計を間違うと寒い家になる】


 
「室内を明るくしたい」
「外の景色がよく見えるようにしたい」
 
このように考えて、大きな窓を取り付けることがあると思います。
 
窓の設計に間違いがあると「夏は暑くて冬は寒い家」になります。
快適とはかけ離れた家になってしまうので、設計段階では十分に注意しましょう。
 
 

大きな窓は寒いのか、暑いのか?

 
現在、高断熱住宅と言われる家で使用される窓の多くは、外壁の5分の1程度の断熱性能しかありません。
「窓は壁に比べて5倍も熱が逃げやすい」ということです。
こう聞くと、窓は小さいほうが良いんじゃないの?と思うかもしれませんが、条件によっては窓がある方が冬に暖かい家になります。
どんな条件なのか見ていきましょう。
 

【大きな窓を付けると暖かくなる家の条件】

①冬に晴れた日が多い地域である
②家の南側に日差しを遮る建物や山がない
③南側に窓があり昼間に日射が入る
④家全体の断熱性能が高い

 

①冬に晴れた日が多い地域である

窓を大きくして日射を取り込むためには「晴れる」ことが絶対条件です。
雪が降っている間は空に雲がかかりますので、太陽光は得られません。
そう考えると、雪が多い地域では何の対策もなしに大きな窓を設けるのは危険です。
 
 

②家の南側に日差しを遮る建物や山がない

太陽は「東→南→西」の方角に昇って沈みます。
いちばん日照時間が長いのは、太陽が南にあるときです。
もし、南側に大きな建物があると影になって日射取得できません。
 
 

③南側に窓があり昼間に日射が入る

太陽が昇ってから沈むまでの間、ちょうど日射取得できる位置に窓を設けることがポイントです。
夏と冬では太陽の高さが変わります。
そのことを考慮して軒や屋根の設計をする必要があります。

 
 

④家全体の断熱性能が高い

お家全体の断熱性能が低く、保温性が無ければ、せっかく日射取得してもすぐに熱が逃げてしまいます。
気密性を上げる、断熱材を十分に充填する、南以外に大きな開口部を設けない、などの工夫で家全体の断熱性を高くすることが出来ます。
 
 
 

日射取得で得られるメリットは大きい

 

 
条件を満たした窓なら、冬でも晴れている日の昼間は20℃近い室温を得られます。
夕方になったら、熱を逃がさないようにカーテンを閉めて保温し、夜まで暖かさを保ちます。
日射取得にお金はかからないので光熱費の節約につながります。
 
昔は、窓の性能も、家自体の性能も低かったので、このような考え方ができませんでした。
家づくりに携わる大工や設計士ですら「断熱性能を高くして自然エネルギーを活用をする」なんて思いつきもしなかったのです。
 
「冬に寒いのは当たり前」という逃げの一言で済ませるのは、自分の不勉強をゴマ化しているにすぎません。
 
日射取得のことを理解していないと、「冬は暖かいけど、夏は暑すぎる」という失敗もあり得ます。
大きな窓を有効活用する設計手法は、誰にでもできることではないので、豊富な経験と技術をもった設計士に頼りましょう。
 
 

まとめ

 
●窓は壁の5倍も熱が逃げやすい
●日射取得できる条件に沿って大きな窓を設置すれば、冬もあたたかい家になる
●その代わり、夏の日射遮蔽(日差し対策)をしないと灼熱地獄になる
●日射取得、日射遮蔽を踏まえて設計できるのは経験豊富な設計士だけ
 
窓の位置は建ててから変えることができません。
設計段階から十分に注意して計画することが大切です。
 
また、日射取得&日射遮蔽を成功させることは、プロの設計士でも難しいことです。
その道のプロと言われる設計士でもなんども失敗を繰り返して、成功への道を辿っています。
設計士を選ぶことは、一生の暮らしと家計を選ぶのと同じこと。
本当に信頼できるかどうかを見極めてパートナーを選びましょう。

ARCH

書いた人

ARCH

滋賀県東近江市にある工務店 ARCH
高性能高機能な家づくりを行っています

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