知らずに建てると「カビだらけの家」になる【結露の話】
昔、おばあちゃんの家に行ったとき、物置の中を探検しました。
そのとき、ふと、カビ臭いにおいを感じたのを覚えています。
日の当たらない北側の物置で、ひんやりと湿った空気の漂う場所でした。
今になって思えば、あれは物置だけでなく、家のそこらじゅうがカビに侵されていたのだと思います。
お風呂の脱衣所も、キッチンの流しの下も、どこもかしこも黒いカビの点々が見られました。
さて、みなさんは、古い家ならそれが普通だと思ってはいませんか?
家にカビが生える条件は?
カビというのは、どんな家でも生えるわけではありません。
下記4つの条件が揃うとき、爆発的に繁殖します。
【酸素】カビの成長に必要
【温度】20~40℃くらいの温度
【湿度】70%以上の湿度(空気中の水分が多いほど高い)
【栄養分】布やプラスチックですらカビにとっては栄養になる
日本は、カビが好きな温度と湿度の条件が揃っている地域です。
これくらいの条件なら簡単に満たしてしまう家が多く、それゆえに日本の家はカビやすいのです。
家の中にカビが生えないようにする方法は?
結論からいうと、「結露しない家を建てること」です。
結露とは、空気中の水蒸気が冷たいものに触れることで、水滴となってそこに現れる現象です。
結露するにもいろいろな条件があるのですが、いちばんの原因としては「湿度コントロール」ができていないことです。
もし「高気密高断熱の家なら結露しない!」と言っている工務店があれば、それはちょっと単純すぎます。
たとえ高気密高断熱だったとしても、湿度コントロールが出来ていなければカビが発生します。
湿度コントロールはどうやるの?
一番おすすめな湿度コントロールの方法は、「気密性を高くして換気計画の精度を上げること」です。
平成15年以降すべての住宅に24時間換気の設置が義務付けられました。
今では賃貸アパートにも設置されています。
しかし、多くの家ではこの換気装置が「効果的に換気していない」ことをご存知ですか?
換気装置が効果的に換気しない理由は、気密性が低いからです。
家の中にすき間がたくさんあり、空気が漏れているため、すみずみまで空気が循環しません。
ですので、結露しない家を建てるためには「気密性を高くして換気計画を完璧にし、湿度コントロールをする」ことが必要です。
気密測定(C値の測定)をしていないのに「うちは高気密です」という企業があります。
C値は机上の計算ではなく、実測することでしか測定できません。
気密に対する意識の高さは、気密測定をしているかどうかで判断してもいいと思います。
また、その場合の気密はC値=1㎠/㎡以下であることが望ましいです。
ちなみに、長期優良住宅では気密性は関係ありません。
長期優良住宅の家でもカビが生える可能性は大いにあります。
“長期優良”なんて言うから、良い家のようなイメージがありますが、「家のカビ問題」とは全く関係ないことを知っておいてくださいね。
部屋干しすると湿度が上がる?
「天気を気にせずに洗濯物を干したい」
「花粉やホコリが気になるからランドリールームが欲しい」
女性からの要望が多いのが“室内干し”です。
室内に洗濯物を干すと、湿度は上がります。
冬はエアコンを付けると乾燥気味になるので、洗濯物の湿気が加湿器代わりになることもあります。
しかし、基本的に「室内干しはカビの原因になりやすい」です。
もし、脱衣所などに物干しスペースを作るなら、除湿機や浴室乾燥機の併用をおすすめします。
まとめ
●家の中にカビが生えないようにするには、結露しない家を建てること
●高気密高断熱の家でも、気密性が低く換気計画がうまくいっていないと結露する
●気密は1㎠/㎡以下がよい(必ず気密測定をしていることが条件)
●室内干しは湿気の原因になるので、除湿機や浴室乾燥機を併用する
ちなみに、結露はカビだけでなくダニの原因にもなります。
大切なおうち、家族の健康を守るためにも、家を建てるなら「結露しない家」を選びましょう。
室内干しが気になる方は、下記の記事もおすすめです。
夏の部屋干しで湿度上昇|カビ・ダニ繁殖の原因に【部屋干し対策も】
結露とカビが気になる方はエアコンの使い方に注意しましょう。